平成28年度

日 時:平成28年12月13日(火)午後1時30分から午後4時まで
会 場:宮崎県総合保健センター 大研修室
対象者:自治体・事業所・医療関係者・社会保険労務士・がん患者及びその関係者
参加者:71名
内 容:
 [事例Ⅰ]
 「がん患者の就労支援に対した医療連携センターにおける取組について」
   宮崎大学医学部付属病院 地域医療連携センター長  鈴木 斎王 氏



 今年度より全国にて開始された「長期療養者就職支援事業」において、地域医療連携センターとハローワーク等の連携やこれからの労働支援についての説明がなされた。

 [事例Ⅱ]
 「出張相談における就職支援について 
            ~就労支援の関わりの中で感じたこと~」
   宮崎公共職業安定所 就職支援ナビゲーター 二色 綾 氏


 長期療養者就職支援事業におけるハローワークの取り組みについて説明があった。今年度4月から9月までにおける求職者数19件のうち、8件が就職につながった。
 がんに罹患してもすぐには辞めないでもらいたい、そして事業主は、辞めさせないで、応援して待ってあげて欲しいと述べられた。

 [講演]
 「がんと仕事 就労支援を考える」
   一般社団法人グループ・ネクサス・ジャパン
   一般社団法人全国がん患者団体連合会
             理事長 天野 慎介 氏


 20代でがんと診断されたご自身の当時の思いや体験を踏まえ、就職支援について講演された。就職支援を考える際、まずは一人一人ががん患者への理解を深めてもらいたいと述べられた。

平成27年度

日 時:平成28年2月13日(土)午後1時30から4時まで
会 場:宮崎県総合保健センター 5階 大研修室
対象者:自治体・事業所・医療関係者・社会保険労務士・がん患者及びその関係者 等
参加者:110名
プログラム:
 第1部講演「がん患者をめぐる法的問題と社会保障」
                     宮崎はまゆう法律事務所
                            所長   梶永 圭 氏
    

 第2部講演「働く世代とがん、いま、私たちが考えたいこと」
             キャンサー・ソリューションズ株式会社
              代表取締役部長  桜井 なおみ 氏

内  容:
 宮崎県からの委託事業として「がん患者の就労支援等に関する講演会」を開催した。
 125名申込みがあり、当日は自治体、企業、医療関係、社会保険労務士、がん患者及びその関係者、一般から110名の参加があった。
 まず、「がん患者をめぐる法的問題と社会保障」と題し、宮崎はまゆう法律事務所 梶永 圭 氏が第1部講演を行った。
 はじめに「がん患者の就労支援の必要性について」、がんに罹患した就労者の現状・罹患後の就労状況・がんに関する相談、報告について・就労問題の調査報告があった。
 がん患者の3人に1人は働く世代で罹患し、就労状況では56%の人に変化があり、うち30%が依願退職している。当時の悩みは半数が配偶者等に相談し、誰にも相談せずが約27%、また職場への報告は71%が報告している。報告しなかった理由としては、半数が言っても仕方がないということであった。就労問題としては、がん患者の3人に1人が診断後に離職し、相談先がなかったり不足したりしている。平成24年6月に重点課題として「働く世代のがん対策」が盛り込まれたがん対策基本計画が閣議決定しているが、企業側の支援体制や理解がまだ不足しているとのことであった。社労士による就労支援モデルとしては、就労問題発生後、医療機関が相談支援窓口として対応し、病院と連携した相談支援を社労士(弁護士)にする。社労士・弁護士の役割と業務としては、治療と仕事の両立支援(法的問題のアドバイス)、労働社会保険手続きに関する相談・代行、また就労問題を一緒に解決していく支援者の役割を行う。
 次に「がん患者をめぐる法的問題」として、休職等に関する問題・復職に関する問題・退職、解雇に関する問題等法的問題がQ&A式で説明が行われた。また「がん患者をめぐる社会保障」としては、雇用保険や健康保険・年金・医療費及び育児介護休業法についてもQ&A式で行われ、債務整理としては、破産や個人再生についての説明があった。
 

 次に「働く世代とがん、いま、私たちが考えたいこと」と題して、キャンサー・ソリューションズ株式会社 桜井 なおみ 氏が第2部講演を行った。「社会の中のがん」としてがん経験者が直面する4つの痛みについて、自身の体験も踏まえながら説明があった。がんと診断を受けた場合、患者は身体的な痛みだけでなく、不安感や喪失感などの心の痛み、就労や結婚出産に関することなどの社会的な痛み、尊厳ある存在としての魂の痛みを経験する。
 次に「国のがん対策の変化」について、二人に一人はがんになる時代であるため、会社の規模に関わらず、社内にがん患者がいることは普通になってきている。そのような中で、平成24年6月に閣議決定された。「がん対策推進基本計画」には「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」という全体目標が新しく取り入れられた。子どもたちに対するがん教育のあり方も検討するようになった。また、がん患者の就労支援に関する総合支援事業では、今年の春より各都道府県の一つのがん診療連携拠点病院にハローワークを設置し、病院にいるうちから仕事を探すことができるようになるとのことであった。仕事と治療の両立についての認識では、約66%の人が両立できないと考えており、その要因としては検査や治療などで仕事を休むときなどに、代わりに仕事をする人がいない・頼みにくい・休むことを許してくれるかわからないが半数である。しかし桜井氏は、仕事を休むことはどうにかなるので、何で困っているのか、どうしてほしいのかを伝えてほしいと述べていた。
 次に「がんと働く現状」について、就労者ではがんと診断されて34%が仕事に影響している。就労者のうち、67%の人が減収になっている。減収が治療方法の変更や中止につながることもあるという。また、個人事業主ががん罹患により事業への影響があった人は72%で、32%が取引先との関係に影響している。社内制度については、私傷病休暇制度が設けられていても、規模の大きな会社ほど利用する人 は半分である。その理由については、その制度を利用するためには自分の病名を告げる必要があり、患者にとってはそれが大きな障害になるためである。私傷病休暇制度が整っており、社員がお互い様の精神で、その制度を十分利用できる雰囲気をつくることが大切である。また、治療と職業生活の両立のために 会社に用意してほしい配慮としては、私傷病で休める制度や失効した有給休暇を再度使える制度などであった。傷病手当金の制度は1年6ヶ月あるが、実際に治療や体調不良で休みが必要だった日数の平均は、48日であった。がんの再発は2~3年目に多いため、傷病手当金の制度を分けて使えるようにしてほしいという人も多いとのことであった。
 次に「介入のタイミングはいつ?」について、がん患者の心と身体の状態については、がんと診断されてから落ち込んだ後に、持ち直すタイプとそのまま落ち込み続けるタイプがあるという説明があった。この二つのタイプの違いは、診断前の生活状況が好調か不調かに影響を受けていた。家族や友人などの支えがあることも心の状態の好転に影響していた。


 最後に「がんと就労・成功のヒント」について、がんの治療や抗がん剤の副作用などは、様々な時期に現れてくるため、患者は会社に、病名ではなく何をしてほしいかを言うようにとのことであった。患者自身にも、自分の病名だけでなく、体調管理の方法や使用している薬と副作用などについて理解することが必要である。今後必要な社内制度として「ラッシュ時を避けた時差出勤」・「5週間毎日放射線治療で通院が必要なため半日や時間単位の年休」・「職場復帰後、暫く短時間勤務」などを挙げられた。
 今回の講演では、がん患者が働くことに関しての法律的なことや制度について学べ、実りある講演会になった。この講演会が、今後のがん患者の就労に役立つことを期待したい。

平成26年度 がん患者に対する理解を深める講演会

日 時:平成27年1月16日(金)午後2時から4時40分まで
会 場:ニューウェルシティー宮崎 2階 霧島・高千穂
対象者:市町村・学校・事業場の福利厚生担当、産業医、養護教諭、保護者等
参加者:110名
プログラム: 
    第1部講演「宮崎県のがんの現状と対策」
        講師:宮崎県福祉保健部健康増進課 健康づくり・がん対策担当
                             主査 黒木 英治
    

    第2部講演「働くがん患者への支援 治療と仕事の調和に向けて」
        講師:国立がん研究センター がんサバイバーシップ支援研究部
                            部長 高橋 都 氏

内  容: 
 宮崎県からの委託事業として「がん患者に対する理解を深める講演会」を開催した。137名申込みがあり、当日は企業・団体、医療関係、行政、学校関係、一般から110名の参加があった。 
 まず、「宮崎県のがんの現状と対策」と題し、宮崎県福祉保健部健康増進課 黒木氏が第1部講演を行った。
 日本において、がんはS56年から死因順位の第1位となっている。年齢調整罹患率をみると、男女ともおよそ60歳代から増加し高齢になるにつれて増加している。宮崎県でもがんはS57年から死因順位の1位であり、部位別死亡者数はH25年では男女とも肺がんが最も多く、ついで、男性は胃がん、肝臓がんの順、女性は大腸がん、すい臓がんの順であった。H25年に策定された「宮崎県がん対策推進計画(改定)」で は、がんによる死亡者減少の目標値を、H29年度に68.4(75歳未満年齢調整死亡率)にするとしたが、死亡率は徐々に減少しているもののH25年は78.4と高く、がんの早期発見・早期治療へ向け、なお一層の努力が必要である。また、緩和ケアの推進と、がんになっても安心して働き暮らせる社会に向けた対策についても整備をすすめており、県内の拠点病院やがん相談支援センター、がん患者会、がん情報ホームページ等の紹介があった。    
 次に、「働くがん患者への支援 治療と仕事の調和に向けて」と題して、国立がん研究センター がんサバイバーシップ支援研究部長 高橋 都氏が第2部講演を行った。    
 始めにサバイバーシップとは、がんに限らず命を左右するような大きな危機を受け止めた人が、家族や仲間とともに充実した社会生活を送るプロセス全体をいい、今はがんと結び付けて使われることが多いと説明された。日本人の2人に1人は一生のどこかでがんと診断される時代となり、その約3分の1は労働年齢(15歳~64歳)である。医療の進歩から5年生存率も全がん平均で60%まで伸び、「がんは死に直結する病気」から、「長く付き合う慢性病」となった。がん患者が就労している場合は、診断を受け止め治療方針を選択する時期に、職場への報告や入院中の仕事を調整する必要に迫られ、育児や家事の心配も生じる可能性がある。この時期に「会社に迷惑を掛けたくない」と考えて診断直後に仕事を辞めてしまう場合があるので、医療機関では主治医等が告知の際に「今すぐ仕事をやめる必要はない」と伝えることが重要。そして、本人が自分の状況を職場に説明し、自分ができることや配慮してほしいことを明確に伝え、支援を引き出す努力が必要になる。職場では、がん患者と主治医・産業保健スタッフと、病状・配慮事項の共有を図った上で、企業向け支援マニュアルに沿った対応が必要となる。最後にがんと就労の問題は個別性が極めて高く、同じがん同じ治療でも取り巻く条件によって大きく異なるため、イメージではなく「その人」に合わせた対応が必要だ。と結ばれた。講演中には、就労支援に向けた各種支援ツールの紹介があった。   
 参加者からは、「職場でがんにかかった職員も多く、少しでも支援ができたらと考えていたので大変参考になった。」「わかりやすい資料・冊子の配布・紹介があり、今後の支援につなげるツールが多くありがたい、職場で共有したい。」といった感想があった。     
 今回の講演会は“働くがん患者の支援”をテーマに初めて取り組んだ内容であったが、様々な立場の方に参加いただき、実りのある講演会となった。この講演会での学びが職場や医療現場、地域におけるがん患者の支援に役立っていくことを期待したい。