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母子保健指導者研修会
report

令和4年度 母子保健指導者研修会を開催しました

■日 時:令和4年10月4日(火)13時20分から15時35分まで
■開催方法:集合及びオンライン(Zoom)
■会 場:宮崎県総合保健センター5階大研修室
■対象者:行政の母子保健・子育て支援担当、子育て支援団体、産婦人科・小児科医療機関職員等
■参加所属数:40箇所
■プログラム :
 行政説明:宮崎県福祉保健部健康増進課 母子保健・医療支援担当主査 寺町 真由美

 講 演 :「低出生体重児の成長発達とその支援」
         講師 宮崎大学医学部 発達泌尿生殖医学講座
                産婦人科学分野  教授  児玉 由紀 氏

 事例発表:「リトルベビーの家族として感じること」
         講師 宮崎リトルベビーサークル結~ゆう~ 代表 増田 杏那 氏

■内 容:

 当研修会は、県委託事業として母子保健サービスの第1線で活動している関係者を対象に、実践に即した研修会を行うことで地域での母子保健活動の向上を図る目的で開催している。

 今年度は、低出生体重児とその家族へ切れ目のない支援体制を構築するため、低出生体重児のおかれている状況を知り、必要な支援について学ぶことにより地域のニーズに沿った支援に繋がることを目的とした。

 開催方法は集合・オンライン(ライブ配信)のハイブリッド形式を採用し、全体で40所属(市町村22、保健所3、県所属部署5、医療機関4、関係機関6)の参加があり、会場への来場者7名、オンライン参加者は91名であった。

 宮崎県健康増進課寺町主査による低出生体重児の定義、出生数・出生率の動向比率、制度や行政サービス等についての行政説明に引き続き、宮崎大学医学部教授 児玉 由紀先生に講演いただいた。

 講演では、宮崎県の周産期・新生児医療の中心である宮崎大学医学部附属病院総合周産期母子医療センターのセンター長を兼任されているご自身の活動を中心に、世界の中でも優れた周産期・新生児医療の日本の現状と国際比較、またその中でも宮崎県のトップレベルの周産期死亡率の低い現状と沿革、県内の周産期医療体制等についての解説、また出生数の減少と早産・低出生体重児の比率の漸増傾向とそれに至る背景、出生後に起こる新生児のハイリスク合併症の様々な病態の解説や低出生体重児の母親の心理状態、入院から退院へ向けた支援の状況とその必要性について講義された。

 また極低出生体重児の乳児期の身体発達曲線(母子手帳掲載)は専用のものが必要であること、また運動発達の評価についても修正年齢で評価を行うことが適切であること等お話をいただいた。

 後半では、極低出生体重児の事例報告として象徴的な2例をご家族の記録と体験談として報告いただき、研修会参加者から「早産児・低出生体重児とその家族の支援を行うにあたって知識・知見を深める良い機会になった」との意見が数多くあった。

 事例発表では、宮崎版リトルベビーハンドブック製作に携わり、双子の極低出生体重児の出産の経験をもとに、ご自身の体験について発表いただいた。医大に救急搬送され、母子共に危険な状態であるため、母体保護法で定められた人工妊娠中絶の最終期限(22週未満)で突然に命の選択を迫られたつらい思い、出産直後の早く小さく生んでしまった罪悪感、看護スタッフの祝福の言葉が胸に刺さるような複雑な気持ち、児と別の病棟へ入院となった孤独感、搾乳のつらさ、初めての児との面会時に感じた感謝の気持ちよりも後悔の念と将来への不安感等、当事者でなければわからない心情を赤裸々にお話いただいた。

 しかし、その中でも笑顔で励ましてくれるご主人の姿や、面会のたびにかけられる医師、看護師の優しい声かけ、先輩の早産経験者との出会い、地域の助産師の助言や励ましなどにより少しずつ前を向くことができるようになったとのことである。

 その後、母子健康手帳の不備を感じているところにサブブックの存在を知り、宮崎版リトルベビーハンドブック作成を県に要望し、同じ経験をしている低出生体重児の母親のためリトルベビーサークルを立ち上げた経緯などを発表いただいた。

 参加者からは「当事者の正直な気持ちを聞くことができ、声かけ支援について考える機会をいただいた」「ご家族と一緒に子育てを見守る為には何ができるのか...今一度考えたい」等の声が寄せられ、児の支援、家族の支援を行う際の声のかけ方、寄り添い方など心構えについて再考させられる有意義な発表内容であった。

(講演)

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(事例発表)

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